LaTeX(雑記): 目次の数字とアルファベットを両立させる

jsarticle.clsとhyperref.styを仮定する.目次に数字とアルファベットを用い,なおかつhyperrefのリンクと両立させるには,

\begin{document}

\tableofcontents

\section{最初の章}%

\renewcommand{\thesection}{\Alph{section}}
    %(章番号をアルファベットに再設定)
\renewcommand{\thesubsection}{\thesection.\arabic{subsection}}
    %(節番号をそれに合わせて再設定)
\renewcommand{\theHsection}{(任意の空でない文字列)\thesection}
    %ここが重要.hyperref.styが必要.
\section{補遺の章}

\end{document}

とすればよい.

LaTeX(雑記): 「第n章」のカスタマイズ

LaTeXのjsarticle.cls(それには限らない)のデフォルトでは,章立ては章番号のみが記載され,「第n章」といったような表示になっていない.これは容易に修正できて,

\renewcommand{\presectionname}{}
\renewcommand{\postsectionname}{}

とプリアンブルに入力すればよい.

補遺1:

\presectionnameの出番は,jsarticle.clsファイルの1244/1982行目にある.これをノーヒントで探すのには大層骨を折った.

補遺2:

sectionの例で調子に乗ってsubsectionでも同じことをしようと,例えば

\newcommand{\postsubsectionname}{}
\makeatletter
\renewcommand{\thesubsection}{\@arabic\c@section.\@arabic\c@subsection}%表示は「n章m節」のようになる
\makeatother

などとすれば,目次のドットが章(節)立てと被ってしまう.なればとtocloft.styを導入すると,今度はsectionの章立てと章題が派手に被る.恐らく上手い方法で目次のドットを減らす方法がある(あってほしい)のだが,これがわからない.

補遺3:

どうやら,definitionカウンターにもこれは影響するらしく,例えば「定義 第1章.1」のように出力されてしまう.章番号だけをピンポイントで狙い撃つ光景が,余計に遠のいてしまった.かといって,\section*{}を使うのは,.texファイルとして美しくない.

LaTeX(雑記): qedsymbolを別行立て数式の直後に置く

証明の最後に別行立て数式を置くと,qedsymbolは その次の行に配置される.数式と同じ行に配置させるには,

\begin{proof}
~~なので,
\[
(数式) \qedhere
\]
\end{proof}

とするとよい.

補遺:

enumerate環境でも同じことができた.

\begin{proof}
\begin{enumerate}
\item 一個目.
\item 二個目.
\item 三個目. \qedhere
\end{enumerate}
\end{proof}

で,1行節約できる.他の環境(itemize等)でも同様に動作しそう.

LaTeX(雑記): インライン数式の改行を許さない

(長い)インライン数式が改行しないようにするには,

${ 数式 }$

と,波括弧でインラインの中身全体を囲むとよい.
動作原理はわからない.波括弧内部が改行位置候補にならないのだとか?

Googleスプレッドシート: 部分的連番

Googleスプレッドシートにおいて,オートフィルでは連番にできない文字列を連番にする方法について紹介する.

動機

今,文字列"1-NUM"を,"2-NUM","3-NUM",……,のように連番にしたい.しかし,スプレッドシートでは,連番にしたい数字の後に別の文字列が続く文字列を,オートフィルによって連番にすることができない.例えば,"3-NUM"までの3つを入力してオートフィルを試すと,その3つの文字列が繰り返されてしまう.

1-NUM
2-NUM
3-NUM
1-NUM
2-NUM
3-NUM
1-NUM
2-NUM

上3行(灰色部)をオートフィルした結果

今回は,この問題を解消する.

解消

ここでは,セルA1に入力した文字列"1-NUM"を,同一の列(縦方向)に数字のみ連番にする.

セルA2に次を入力し,あとはセルA2を列Aに渡ってオートフィルする:
=REGEXREPLACE(A1,"\D","") +1 & "-NUM"

1-NUM
2-NUM
3-NUM
4-NUM
5-NUM
6-NUM
7-NUM
8-NUM

セルA2(灰色部)をオートフィルした結果

解説

まず,REGEXREPLACE関数を使い,文字列"1-NUM"の数字のみを取り出す.構文は,
REGEXREPLACE(テキスト, 正規表現, 置換)
である.非数字の正規表現\Dである.そこで,(仮として)セルA2に
=REGEXREPLACE(A1, "\D", "")
と入力する.これで,セルA1の文字列のうち非数字のすべてが空列で置換され,数字"1"のみが残る.これに+1すれば,
=REGEXREPLACE(A1, "\D", "") +1
で,A2にあるべき番号"2"を得られる.あとは,文字列"-NUM"を結合し,
=REGEXREPLACE(A1, "\D", "") +1 & "-NUM"
で,A2にあるべき文字列"2-NUM"が出力された.これでオートフィルが機能する.

参照

スプレッドシートで用いる各正規表現(RE2正規表現)は,次を参照: https://github.com/google/re2/blob/main/doc/syntax.txt

LaTeX: 証明環境を新たに作る

LaTeXにおけるamsthmパッケージで,使用する証明環境を別で新たに定義する方法について紹介する.
以下,amsthmパッケージの使用を仮定する.

動機づけ

補題などの証明の途中で,別の小さな主張を引き合いに出して本題の証明をすっきり書きたいことがある.そのようなとき,気持ちとしては

\begin{lemma}%補題を立項する.定理環境を整備すれば実現できる.ここでは傍論.
(補題の内容)
\end{lemma}
\begin{proof}%補題の証明.
下準備をする.
    \begin{claim}%主張を立項する.定理環境を整備すれば実現できる.ここでは傍論.
    (主張の内容)
    \end{claim}
    \begin{proof}%主張の証明.ここを代替する claimproof環境 をこれから作る.
    主張を証明した.
    \end{proof}
この主張より,~~が言え,補題が従う.
\end{proof}

のように,補題の証明を構成したい.しかし,主張の証明 に 補題の証明 と同一の証明環境を使ってしまうと,主張に係る"□"を 補題に係る"□” と誤読してしまう可能性がある:

誤読するかもしれない.

この誤読を,これから防ぐ.

別環境の定義

プリアンブルに,次を挿入する.

%\theoremstyle{definition}%定理環境の整備.ここでは傍論
%\newtheorem*{lemma}{Lemma}%補題を番号なしで表示する.ここではもっと傍論
%\newtheorem*{claim}{Claim}%主張を番号なしで表示する.ここでは傍論

\newcommand{\claimproofname}{Proof of Claim}%主張の証明を始める記号を定義する
\newcommand{\claimqedsymbol}{$\openbox_\mathrm{Claim}$}%主張の証明を終える記号を定義する

%主張の証明を終える記号が文書の右端に来るよう調整する
\DeclareRobustCommand{\claimqed}{%
  \ifmmode \mathqed
  \else
    \leavevmode\unskip\penalty9999 \hbox{}\nobreak\hfill
    \quad\hbox{\claimqedsymbol}%
  \fi
}

%新たな証明環境 claimproof を定義する
\makeatletter
\newenvironment{claimproof}[1][\claimproofname]{\par
  \pushQED{\claimqed}%
  \normalfont \topsep6\p@\@plus6\p@\relax
  \trivlist
  \item[\hskip\labelsep
        \itshape
    #1\@addpunct{.}]\ignorespaces
}{%
  \popQED\endtrivlist\@endpefalse
}
\makeatother

仕上がりは,次のようになる:

これでよし.

関連

次のサイトも参照するとよい.
傍論部分を解説している: 【LaTeX】定理環境amsthmパッケージの使い方を徹底解説 | 数学の景色
証明環境のカスタマイズについて詳しい: 【LaTeX】証明環境proofのあれこれ | 数学の景色